病院の建物自体が倒壊、もしくは倒壊の恐れがある場合、「場の安全が確保できない」として、緊急避難(退避)が必要と判断し、入院(入所)しているすべての患者(入居者)さんを迅速に安全な場所に避難させる方法です。
すべての患者さんの行き先がすぐに決まるということはなく、比較的安全な場所に一旦避難させた後、二次避難をさせる場合もあります。
今回の震災では発災後2週間が経過し、余震により建物の亀裂が広がり、土砂崩れにより基礎部分が露出し、大きな余震が起きれば倒壊、すべての入院患者の生命の危険があると判断し病院避難ミッションが行われました。
できるだけこの病院にいたい、家族の近くで・・、そのような患者様のご希望によりそえないことの申し訳なさもありますが、倒壊の危険性のある場所で入院も医療従事者を働かせることもできません。
管理者としては、病院避難を行い入院患者さんがいなくなれば、病院の収益がなくなるため閉院、職員は解雇せざるをえなくなる苦渋の選択です。
DMATでは身体的なリスク(怪我をするかもしれない、命を落とすかもしれない)だけでなく、精神的なリスク(助けられなかった、見殺しにしてしまった、いつ壊れるか、壊れれば命を落とすかもしれないところで働く恐怖)などを総合的に考え、病院管理者などと相談し、病院避難を行うかの最終決定をお手伝いさせていただきますが、本当に避難させなければいけなかったのか、この活動でよかったのかを何年も悩みつづける大変難しい決断をすることとなります。