表示中の記事は2019年6月30日までの旧記事です。

極北ラプソディ

”TOKYO”での学会に参加中です。

沖縄から学会に参加するためには、最低2時間の飛行機旅行が必要で、仕事をかかえ機内でコンピューターを「かたかた」しているときも多いのですが、 「離陸着陸の際は・・・」といわれるのでその間だけでもと文庫本を買う事がよくあります。千円以上する単行本は大きくて、帰りの飛行機の際にも荷物になる ので買わないのですが文庫本になっていただけると大変助かります。

今回は、医療現場をよく知る海堂尊先生の「極北ラプソディ」を読みました。

極北ラプソディー
思い当たる市町村があります。

経験した地域医療の問題点もしっかり書いてあります。

今回、参加している救急医学会で、チャンピオンケースを誇らしげに発表している病院もありますが、その背景にある地域による医療格差の問題や、医師の能力、役割分担が本当は必要だけどできていない現状などを知っている医師である著者ならではの、救命救急の光と影、地域での救急医療の問題が丁寧に書かれている気がしました。

重症が診れないのは仕方ないにしても軽症、中等症は診てよね、という救命センターの気持ち

軽症の中に潜む重症患者に対応できない、そんな可能性がある状態で救急患者の搬送を引き受ける事(9/10が軽症だったとしても)での、潜んでいた重症患者の受けるタイムロス、ホスピタルディレイ、そしてそれが患者を殺してしまうかもしれないという危険性を考慮した上で救急医療を引き受けないという医師不足の病院の選択
ヘリポート
医師であれば、患者さんを自己保身のために見殺しにしてもいいと考える医師なんかいない、みんな助けたいと思っているんだけど、ひとりでは、自分では、自分たちの能力では、助けられない、かもしれない、でも助けられるかもしれない、自分がもうちょっと頑張れば、もうちょっと無理すれば助けられるかもしれない、でも、もうちょっと無理を続けると倒れるかもしれない(病院も自分も地域も)、倒れちゃったら代わりはどこからもこないかもしれない、そしたら地域はもっと大変な事になってしまう、けど、医は仁術だろ、診てくれよ、診療拒否をするのか、と求められるところでの葛藤など、日常診療で常に悩んでいるところが、胸にずんと来ました。

あと2日、救急医学会が続きます。

いろいろな問題をしっかり勉強してきたいと思っています。